築三十年を超えた実家を引き継ぐことになったとき、正直に言えば不安の方が大きかったです。至る所に染み付いた汚れや、使いにくい間取り、そして冬場の凍えるような寒さ。新築への建て替えも頭をよぎりましたが、幼い頃の思い出が詰まったこの家を壊したくないという思いが勝ち、私は大規模なリフォームを決断しました。実際に工事を始めてみると、リフォームとは単なる「お化粧直し」ではないということを痛感させられました。壁を剥がしてみると、断熱材がほとんど入っていなかったり、柱の根元が僅かに傷んでいたりと、外側からは見えない家の悲鳴が聞こえてきたからです。工事の過程で、私たちは今の自分たちの生活に合わせて大胆な変更を加えました。暗かったキッチンを対面式にし、リビングと一体化させることで、家族の顔が見える明るい空間へと作り変えました。また、最もこだわったのは断熱改修です。窓を全て二重サッシにし、床下や天井に最新の断熱材を敷き詰めたことで、冬場の朝でも暖房なしで過ごせるほどの快適さを手に入れることができました。リフォームが完成し、新しい生活が始まって一番驚いたのは、自分たちの気持ちの変化です。以前はただ「古い」と感じていた場所が、自分たちの手で手を加えたことで「愛着のある空間」へと生まれ変わりました。古材の良さを活かしつつ、最新の設備を取り入れたことで、新築にはない独特の落ち着きと利便性が共存しています。リフォームを通じて学んだのは、家は自分たちと共に成長し、変化していくものだということです。完璧を求めるのではなく、今の自分たちに何が必要かを見極め、予算の範囲内で優先順位をつけていくプロセスは、自分たちの生き方を見つめ直す貴重な時間でもありました。多少の不便や歪みも、この家の個性として愛でることができるようになったのは、リフォームという選択をしたからこそ得られた心の余裕かもしれません。もし、古い家をどうにかしたいと悩んでいる方がいるなら、私は自信を持ってリフォームをお勧めします。それは、建物を直すだけでなく、自分の暮らしを自分自身の手でデザインし直す、とても創造的で豊かな体験になるからです。
古い家をリフォームして快適に暮らす私の体験記