クロスのDIYを成功させるための秘訣は、何よりも適切な道具を揃え、その正しい使い方を習得することにあります。多くの初心者が壁紙選びにばかり気を取られがちですが、仕上がりの美しさは手に持つ道具の質に直結します。まず揃えるべきは、壁紙を平らに撫でつけるための撫でハケです。これは、中心から外側へ向かって空気を逃がすために不可欠な道具で、適度なコシがあるものを選ぶと作業が格段にスムーズになります。次に重要なのが、角を出すための竹ベラと、正確に裁断するための地ベラです。竹ベラで壁の角をなぞって折り目をつけ、その上から厚みのある地ベラを当ててカッターで切ることで、プロのような直線的な切り口が実現します。カッターについても、刃を頻繁に交換することが重要です。壁紙は水分を含んでいるため、切れ味が悪いと断面が毛羽立ってしまい、継ぎ目が目立つ原因になります。一箇所切るたびに刃を折るくらいの気持ちで挑むのが正解です。また、継ぎ目を圧着させるためのジョイントローラーも欠かせません。二枚の壁紙が重なる部分を丁寧に転がすことで、境目がほとんど分からない状態まで馴染ませることができます。これに加えて、糊がはみ出した際にすぐに拭き取れるよう、綺麗な水を入れたバケツと清潔なスポンジを常に手元に置いておくことも忘れてはいけません。糊が乾いてしまうと表面にテカリが残り、せっかくの質感が損なわれてしまうからです。さらに、下地が荒れている場合に備えて、パテとサンドペーパーも用意しておきましょう。どんなに高価な壁紙を選んでも、下地の凹凸があればそれは表面に確実に現れます。パテを薄く塗り、乾いた後にサンドペーパーで平滑にする作業は地味で時間がかかりますが、このひと手間が数年後の耐久性にも関わってきます。道具を使いこなすにはある程度の慣れが必要ですが、一つひとつの工程を丁寧に行えば、驚くほど高品質な空間を作ることができます。プロが使う道具にはそれぞれ理由があり、それを模倣することが上達への近道です。適切なツールへの投資を惜しまず、じっくりと腰を据えて作業に取り組むことが、満足度の高いクロスのDIYを実現する唯一の方法と言えるでしょう。
美しい仕上がりを左右するクロスのDIY専用道具と使い方のコツ