クロスのひび割れは、建物の構造的な問題や環境要因だけでなく、実は「施工不良」が原因であることも少なくありません。特に、目に見えない下地処理の段階でのミスが、後々ひび割れとなって表面化することがあります。 最も多い施工不良の一つが、「下地処理の不備」です。クロスを張る前には、下地となる石膏ボードの継ぎ目やビス穴をパテで埋め、平滑にする作業が不可欠です。このパテ処理が不十分だと、継ぎ目に段差や隙間が残ったままになり、その上からクロスを張ると、下地の形状を拾ってひび割れが発生しやすくなります。特に、石膏ボードのジョイント部分にメッシュテープなどの補強材を貼らなかったり、パテの乾燥が不十分なまま次の作業に進んでしまったりすると、後からひび割れの原因となります。 次に、「クロスの接着不良」も挙げられます。クロスを張る際に、糊の塗布量が少なすぎたり、均一に塗られていなかったりすると、クロスが下地にしっかりと接着されません。部分的に接着が甘い箇所があると、クロスの引っ張りや下地の動きに耐えきれず、ひび割れや浮きが発生しやすくなります。特に、壁の角や出隅・入隅の部分、窓枠やドア枠の周りなどは、接着が甘くなりやすい箇所なので注意が必要です。 また、「クロスの伸縮への配慮不足」も原因となります。クロスには多少の伸縮性がありますが、無理に引っ張って張ったり、伸縮を考慮せずにきつめに張ってしまったりすると、乾燥後に収縮する際にクロス自体に過度な負荷がかかり、ひび割れが発生することがあります。特に、異なる素材が接する部分や、建物の構造上動きやすい箇所では、適切な目地処理や隙間を設けるなどの配慮が必要です。 これらの施工不良によるひび割れは、プロの目で見れば比較的判断しやすいものです。もし施工後すぐにひび割れが発生した場合は、施工業者に相談して対応してもらう必要があるでしょう。