親から受け継いだその家は、家族の歴史そのものだった。子供の頃のかくれんぼの記憶が染み付いた壁、入学式の日に記念写真を撮った玄関ポーチ。しかし、築四十年という歳月は、家の外観に容赦なくその痕跡を残していた。壁には無数の細かなひびが走り、屋根の色はすっかりと褪せてしまっている。この家をどうするべきか、家族会議は何度も開かれた。建て替えてしまえば、耐震性も断熱性も向上し、現代の暮らしに合った快適な住まいが手に入るだろう。しかし、建て替えは同時に、この家に刻まれた数えきれないほどの思い出を消し去ることでもある。議論の末、家族が出した結論は「家の骨格と記憶はそのままに、未来へと繋ぐリフォーム」だった。計画の中心は、家の歴史に敬意を払いながら、現代的な機能性とデザインを取り入れること。まず、傷みが激しかった外壁は、既存のモルタルをすべて剥がし、下地からやり直すことにした。そして新たに選んだのは、温かみのあるベージュ系の塗り壁材。職人が手作業で仕上げるコテむらが、画一的ではない、味わい深い表情を生み出してくれるはずだ。この家の特徴であった出窓の周りには、アクセントとしてダークブラウンの木目調サイディングを施すことにした。これは、かつてこの家を建てた父が好きだった木の色合いを、現代的な素材で再現するという試みだった。古き良き記憶へのオマージュであり、新しいデザインへの挑戦でもある。屋根は、耐久性と断熱性に優れた新しい素材に葺き替えられた。色は、外壁のベージュと木目のブラウンを引き立てる、落ち着いたチャコールグレーを選択。これにより、家全体が安定感のある、落ち着いた佇まいに生まれ変わるはずだ。工事期間中、家族は仮住まいに移りながらも、日に日に姿を変えていく我が家を固唾をのんで見守った。そして数ヶ月後、リフォームはついに完成した。足場が外され、新しい姿を現した我が家を見た瞬間、家族は言葉を失った。そこにあったのは、紛れもなく自分たちが育った家でありながら、まるで新築のように美しく、力強く生まれ変わった姿だった。優しいベージュの壁と、温かみのある木目のアクセントは、昔の面影を残しつつも、古臭さを全く感じさせない。新しいサッシに交換された窓からは、以前よりも多くの光が差し込み、室内まで明るくなった。このリフォームは、単に家を修繕しただけではなかった。
思い出の我が家を未来へ繋ぐ外観リフォーム