長年現場で数え切れないほどの壁紙を貼ってきたベテランの内装職人に、初心者がDIYで成功するためのアドバイスを伺いました。プロがまず強調したのは、技術以前の「環境づくり」の大切さです。初心者の多くは、すぐに壁紙を貼り始めようと焦りますが、実は作業スペースを確保し、床に糊がつかないようしっかりと養生を行うことが、ミスを防ぐための第一歩だと言います。また、部屋の湿気や温度も重要で、あまりに乾燥していると糊が早く乾きすぎてしまい、位置調整ができなくなるため、適度な湿度を保つ工夫が必要です。次に、貼り始めの「最初の一枚」についての助言をいただきました。最初の一枚が垂直でなければ、その後全ての継ぎ目が斜めになり、部屋の隅で大きな歪みとなって現れます。プロでも必ず墨出しという垂直線の確認を怠らないのと同様に、初心者こそレーザー墨出し器や重り付きの糸を使い、壁に明確な垂直線を引いておくべきだとのことです。また、カットの際の力加減についても貴重な教訓を教わりました。カッターで切る際、力を入れすぎて下地の石膏ボードまで切ってしまうと、その溝が原因で後に壁紙が浮いてきたり、ひび割れの原因になったりします。壁紙だけをそっと切る「寸止め」の感覚は難しいですが、カッターを寝かせるようにして滑らせるのがコツだそうです。継ぎ目の処理についても、二枚を重ねて切る手法は難易度が高いため、初心者は無理をせず、まずは突き合わせと呼ばれる方法で隙間ができないように寄せて貼る練習から始めるのが良いという現実的なアドバイスもいただきました。最後に、一番大切なのは「失敗しても気にしない心」だと言います。もしシワが寄ってしまったら、その部分まで剥がして糊を塗り直し、もう一度やり直せばいいだけのことです。プロも最初は失敗の連続だったと笑う職人の言葉には、自分の家を自分で手入れすることを楽しむという、DIYの本質的な喜びが込められていました。
プロに聞く初心者が壁紙を貼る際に気をつける点