私はこれまで数百件の和室リフォームを手掛けてきましたが、お客様が最初に見積もりを見た際によく驚かれるのが「下地調整費」と「周辺部材の交換費」です。畳をフローリングに変える工事において、表面の板を貼る作業は全体の三割程度に過ぎません。実は、畳の下に隠れている床板が湿気で腐っていたり、シロアリの被害を受けていたりすることが稀にあります。その場合、基礎の補修費用として数万円の追加が発生することがあります。また、フローリングにすることで部屋の印象が大きく変わるため、周囲の部材とのバランスも重要です。例えば、和室特有の「巾木」がない壁に、新しくフローリング用の巾木を取り付ける費用が必要です。これを怠ると壁と床の間に隙間ができ、見た目が悪いだけでなく埃が溜まる原因にもなります。さらに、和室の入り口にある「敷居」についても注意が必要です。畳の厚みに合わせて作られた敷居は、フローリングにすると段差になってしまうため、これを削ったり、上から見切り材を被せたりする処理に数千円から一万円程度の工賃がかかります。また、意外と見落としがちなのが「襖や障子の調整」です。床の高さが数ミリ変わるだけで、今までスムーズに動いていた襖が建具枠に干渉して動かなくなることがあります。この調整のために、建具職人を別途手配しなければならないケースもあり、その分だけ費用が嵩みます。工事を依頼する際は、単に床の面積単価だけで判断するのではなく、こうした付随する細かい作業がどこまで見積もりに含まれているかを確認してください。安すぎる見積もりは、必要な巾木の設置や建具の調整が含まれておらず、後から追加を請求されたり、不完全な仕上がりで終わったりするリスクがあります。目に見えない部分にこそ手間をかけるのがプロの仕事であり、その手間こそが適正なリフォーム費用を構成しているのです。床板の張り替えは、単なる修繕ではなく、暮らしの質を向上させる絶好の機会です。
内装職人が語る和室リフォームの意外な追加費用と注意点