二十年以上が経過した網戸が外れなくなる主な要因は、物理的なロックだけでなく、レール部分に堆積した汚れの固着にもあります。長年の砂埃や排気ガス、雨水に含まれる成分が混ざり合い、レールの溝や網戸の枠の隙間でコンクリートのように硬くなってしまうのです。このような状態で無理に網戸を外そうとすると、アルミ製のレールを曲げてしまったり、網戸の枠を歪めてしまったりする恐れがあります。そこで、まずは掃除から始めることが取り外しの近道となります。まずは掃除機やブラシを使って、レールの見える範囲のゴミを徹底的に取り除きます。その後、お湯で薄めた中性洗剤をスプレーし、固まった汚れをふやかします。特に網戸が上下のレールと接している角の部分には念入りに吹き付けてください。しばらく放置した後、網戸を左右に何度か大きく動かすことで、固着していた汚れが崩れ、わずかな遊びが生まれます。次に、市販のシリコンスプレーをレールの溝や上部の外れ止め部品に塗布します。この際、油性の潤滑剤を使うと将来的に埃を吸着しやすくなるため、速乾性のシリコンスプレーを選ぶのがプロの推奨するコツです。滑りが良くなったところで、改めて外れ止めのネジを緩めます。二十年前の製品であれば、ネジを回すとパーツが下にスライドする構造が多いですが、これも汚れで張り付いていることが多いため、マイナスドライバーの先で軽く突いて動かしてあげます。もし戸車がレールに食い込んでいる場合は、マイナスドライバーをレールの下に入れ、テコの原理で網戸を少しだけ持ち上げながら手前に引くと外れやすくなります。こうした丁寧な前処理を行うことで、経年劣化した古い網戸も壊すことなく安全に取り外すことが可能になります。住まいの手入れは、力ではなく段取りこそが重要であることを、頑固な網戸は教えてくれているのかもしれません。Aさん宅の網戸は、今では嘘のようにスムーズに動いており、適切な診断と処置がいかに重要であるかを物語っています。
経年劣化した網戸を外すための掃除と潤滑のコツ